役員の訴訟リスク
2008年12月1日に公益法人改革3法が施行されました。この3法のうち「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(以下「一般社団・財団法人法」といいます。)の中で、実際の社団法人・財団法人の運営にあたる理事、監事等の責任が明文化されました。また、社団法人については、会社法における株主代表訴訟制度にならい、
近年、役員の皆さまに対する訴訟リスクはますます避けがたいものとなっておりますが、このような訴訟リスクを懸念されるが故に積極的、独創的な運営判断がなされないこととなれば、貴法人のさらなる発展や活性化が妨げられることにもなりかねません。
会社役員の経営にかかわる多くの大きな責任
- 法人に対する義務
- ・善管注意義務
- ・利益相反取引回避義務
- ・忠実義務
- ・報告義務
- ・競業避止義務
- 第三者に対する責任
- ・一般の不法行為責任
- ・一般社団・財団法人法上の特別責任
会社に対する義務
- 善管注意義務(一般社団・財団法人法 64・172条)
- 理事および監事として相当な程度の注意を尽くして業務を遂 行しなければならない。
- 忠実義務(一般社団・財団法人法 83条)
- 理事として法令、定款、社員総会決議(社団法人の場合)を 遵守して、社団法人等のために忠実義務を遂行しなければ ならない。
- 競業避止義務(一般社団・財団法人法 84条1項1号2号)
- 理事がやむを得ず競業取引を行う場合には、事前に社員総会(財団法人の場合は理事会)の承認を得なければならない。
- 利益相反取引回避義務(一般社団・財団法人法 84条1項3号)
- 理事がやむを得ず利益相反取引を行う場合には、事前に社員総会(財団法人の場合は理事会)の承認を得なければならない。
- 報告義務(一般社団・財団法人法 85条)
- 理事は、社団法人等に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見した場合には、その事実を報告しなければならない。
- 義務が果たせない場合
- 社員代表訴訟が提起される可能性(社団法人の場合)
社団法人等から訴訟が提起される可能性
第三者に対する義務
- 一般の不法行為責任(民法709条)
- 故意または過失により他人の権利を侵害した者はその損害を賠償しなければならない。
- 一般社団・財団法人法上の特別責任(一般社団・財団法人法117条)
- 理事および監事等がその職務を行うにあたり悪意または重大な過失があった場合、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。また、次の行為をしたときも同様。
理事:計算書類等の虚偽記載、基金を募集する際の虚偽の通知、虚偽の登記、広告
監事:監査報告への虚偽の記載、記録
- 義務が果たせない場合
- 第三者訴訟が提起される可能性
法人役員を取り巻く訴訟リスク
役員に対する訴訟は主に次の3つに分類されます
- 社員代表訴訟(社団法人の場合のみ)
- 社員代表訴訟とは、社団法人の役員等が善管注意義務や忠実義務に違反し社団法人に損害を与えた場合に、社員が社団法人に代わって一般社団・財団法人法第278条を根拠として役員等に対して損害賠償を求める訴えを提起するものです。
- 会社(法人)訴訟
- 会社(法人)訴訟とは、社団法人等の役員等が善管注意義務や忠実義務に違反し社団法人等に損害を与えた場合に、社団法人等が一般社団・財団法人法第111条等を根拠として役員等に対して損害賠償を求める訴えを提起するものです。
- 第三者訴訟
- 第三者訴訟とは、社団法人等の役員等が故意・重過失等によって第三者(取引先等)に損害を与えた場合に、第三者が民法や一般社団・財団法人法第117条等を根拠として役員等に対して損害賠償を求める訴えを提起するものです。
『会社役員賠償責任保険(D&O保険)』による備えが必要です!
事故が起こった場合の損害(損害賠償金・争訟費用)に
備えるのみならず、